世界では毎年1,790万人が心臓病で亡くなっています。WHOによると世界の全死亡者数の31%は心臓病により亡くなっています。日本でも状況は同様で、10年以上にわたり心臓病は日本における死因の第2位と厚生労働省の調査で明らかになっています。
心臓病のこわいところはこの死亡率の高さです。
特に、突然死がみられるのも心臓病の特徴です。本人の苦しさは言うまでもなく、このような最期を迎えることは家族や友人にとっても大変辛いものとなります。
ただ、幸いなことに心臓病は予防できます。
その第一歩として心臓病の定義とメカニズムを知りましょう。
心臓病とは、心臓や血管に問題が生じている、ありとあらゆる状態を指します。
体内に必要な酸素や栄養を体中に巡らせ、不要な二酸化炭素や老廃物を排出するには、血液がくまなく流れることが不可欠です。
血液の通路となっているのが血管、血液を押し出すポンプの役割を果たすのが心臓です。
心臓は筋肉として生涯一定のリズムで伸び縮みを繰り返しています。
このリズムが心拍数ですね。
心臓には4つの弁が付いており自動的に開閉することで血液が逆流するのを防いでいます。これらの働きに不具合が生じると心臓病になるわけです。
心臓病の症状
心臓や血管に不具合が生じるとどのような症状が現れるのでしょうか。
代表的なものは次のとおりです。
- 胸の違和感(痛みやしめつけられる感じがする)
- あごや首、胸の下あたり、腰が痛い
- 手足に違和感(しびれや冷えを感じる、感覚がなくなる、腫れる)
- 息苦しい
- 動悸
- 脈に異常を感じる(頻脈、徐脈、不整脈)
- 立ちくらみやめまいを感じる
- 気絶する
- 熱、空咳、発疹がある
様々な症状がありますが、血管が狭くなったり、破れたり、塞がったりすること、心臓のポンプ機能や弁の開閉機能が故障していることで血液の流れが滞ってしまいこのような症状が出てしまいます。
症状には男女差があり、男性は胸の痛みを、女性は疲れや息苦しさ等その他の症状をより訴える傾向があります。
心臓病の種類によっても症状の出方には違いがあります。
例えば冠動脈が狭くなったり詰まったりする狭心症や心筋梗塞では、心臓に最も近い血管である冠動脈に異常が生じていますので胸の部分に関する症状が一般的によく見られます。
一方、末梢動脈疾患は名前のとおり体の末梢部分である手足の血管で異常が起こっていますので手足の違和感が代表的な症状です。
いずれにおいても、これらの症状を放置してしまうとさらに血液の流れは悪くなる一方で合併症を患ってしまう危険があります。
心臓病の合併症で一番こわいのが心筋梗塞と脳梗塞です。
冒頭で述べた突然死はこれらの合併症が原因であることが多いのです。
心臓病の予防
それ以外の心臓病については次の行動を意識することで発症リスクを減らす方法が確立されています。
- 血圧とコレステロールを把握する
- 適切な食事と適度な運動を心がける
- ストレスを減らす
- 禁煙する
まず、心臓病を発症する大元の原因として血管の壁が硬くなっていること、いわゆる動脈硬化が挙げられます。
動脈硬化が進んだ箇所はコレステロールが溜まっていきます。
これによって血管が狭くなったり、つまったりしてしまうのです。
コレステロールの基準値は病院によって幅がありますが、定期検診等でこの値を意識することは心臓病予防のために重要です。
もう1つ身近に測れるものが血圧です。
誰しも年を重ねるにつれて血管の壁は硬くなりやすい状態になりますが、血圧が高いと血管にさらに負担がかかり、動脈硬化を悪化させてしまいます。
まずはコレステロールと血圧、2つの数値を知ることが第一段階です。
自身の状態を数値でしっかり把握した上で、健康的な食事を心がけましょう。
特に、心臓病予防については塩分や糖分を控えめにしましょう。
血圧を下げる効果がある有酸素運動も同時に行いましょう。
また、ストレスは大敵です。
ストレスを感じると血圧が上がったり脈が早くなったりと心臓に負担がかかります。ぜひ自分なりのストレス解消法を見つけてください。
最後にタバコに含まれるニコチンは血管を収縮させる作用があり動脈硬化の大きな原因です。禁煙を強くおすすめします。
心臓病は生活習慣病(高血圧症、糖尿病、肥満)と強く関連しているので予防方法もおおむね共通しています。
無理しすぎずに少しずつ健康な生活習慣を意識しましょう。